メッセージ(2016年)
「言語」と「思考」という新しいSF映画。喧騒から離れた美しい映像と音楽も非日常を与えてくれる。
物 語:★★★★★
映像美:★★★★☆
音 楽:★★★★☆
字幕/吹替:字幕がオススメ です。
時 間:176分
ジャンル:サイエンスフィクション
どんな映画か(ネタバレなし)
「つまり 思考は話す言語で形成される」
「メッセージ」より
Synopsis(あらすじ)
ある日、地球外から来たと思われる巨大な “ 物体 ” が現れる。その物体は世界中に出現しているらしい。物体は宇宙船なのか、平和的な接触なのか、それとも地球を支配するために来たのか。情報が少なく世界中はパニックに陥る。「彼ら」が地球に来た目的を探るため、政府は言語学者のルイーズ・バンクスに協力を要請する。彼らと接触し、未知の言語を解読する中でルイーズはあることに気づきく――。そして彼らの目的とは。
Highlights(見どころ)
本作は、人間の「言語」と「思考」を主題においた映画で、サピア=ウォーフの仮説を前提にしている映画です。
サピア=ウォーフの仮説とは、ある言語を母語とする人の思考・認知はその言語によって影響されるというもの。有名な例としては、グラデーションで明確な色の境界が無い「虹」を何色で認識するかというものです。一般に日本で虹は「赤・橙・黃・緑・青・藍・紫」の7色と認識されていました。一方で英語においては「青・藍」の差がなくなり「blue」とされ、虹は6色と認識されています。
つまり、使っている言語によって対象の見え方が変わってくるという説。言語相対主義ともいわれます。
つまり、地球外からの来訪者との意思疎通のため、彼らの言語を理解していくことで、これまで認知できなかったものが見えてくる――。主人公のルイーズには何が見えるのかというところがキーになる作品です。
壮大な宇宙を舞台に展開するSF映画ではありませんが、「言語」と「思考」をメインテーマにした他にはないサイエンスフィクションになっており、新たなSFの可能性を見せてくれる作品です。
また本作は、美しい映像と音楽を持つ作品です。ルイーズの自宅は、カナダのデューモンターニュ湖のほとりで撮影され、物語とは別に贅沢な時間を過ごす感覚を与えてくれます。また、音楽も安らぎと哀しみを感じさせ、人の感情を浸らせる素晴らしい音楽です。ぜひご覧になってみて下さい。
Uroko
作品情報
制作年:2016年
制作国:アメリカ
監 督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出 演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー他
ジャンル:サイエンスフィクション
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