華麗なるギャッツビー(2013年)
一度手にして失ったものに、人はひどく心を囚われるもの。どうしてあのとき――という思いがそうさせるのかもしれない。手からすり抜けていったものをまっすぐ追いかけて、届きそうで届かなかったひと夏の美しくも哀しい物語。
物 語:★★★★★
映像美:★★★★★
音 楽:★★★★☆
字幕/吹替:字幕がおススメです。
時 間:142分
ジャンル:ロマンス
どんな映画か(ネタバレなし)
「輝いていた日々は あっという間に過ぎて 二度と戻らない」
映画「華麗なるギャッツビー」
Synopsis(あらすじ)
1922年の夏、株価は高値更新を続け、ウォール街は空前の好景気に沸き、NYは “狂乱の時代” に突入していた。当時NYは、繁栄を享受しようとする野心ある若者が集まり、その1人だったニック(トビー・マグワイア)はNY郊外に小さなコテージを借りる。隣には宮殿のような豪邸。そこでは毎週末、豪華絢爛なパーティが行われていた。
ある日、豪邸の主であるギャッツビー氏からパーティの招待状が送られてくる。それ以来、親交を深める二人。そして彼の謎めいた行動のすべてが一人の女性のためだと分かってくる。彼の抱く純粋な希望を理解したニックは、彼の力になってあげたいと思うようになる。
Highlights(見どころ)
手からすり抜けていったものはあまりに美しく輝かしいもののように感じる。年を追うごとに遠のいていくのに希望に満ちた未来を信じ、過去へ絶え間なく押し戻されそうになる――。 本作は、多くの人が感じたことのある失ったものを取り戻したいという過去へ向かう心の動圧を、一人の女性とすれ違う運命に抗うギャッツビーという男によって描き出したフィッツジェラルドの傑作『グレート・ギャッツビー』の映像化作品です。
本当に美しさにこだわって映像化されています。繁栄を享受する時代を背景にした豪華絢爛な邸宅、インテリア、衣装、人々の狂気も混じる開放感、圧倒的な美しさを感じさせてくれます。豪華絢爛な映像の中にあって、ギャッツビーの純粋で小さな恋心が対照的に、尊く、そして美しく繊細なものに感じられます。中でも、デイジー(キャリー・マリガン)と再会するシーンは、心の動揺と再会の至福が手に取るように伝わってくる秀逸なシーンです。
また、豪華絢爛な舞台に埋もれてしまわないディカプリオとキャリー・マリガンの俳優としての “華” は目を見張るものがあるし、心情表現する仕草や表情といったお芝居にも心動かされるものがあります。音楽はラナ・デル・レイ『Young and Beautiful』が挿入歌として使用されており、美しくも儚い雰囲気を見事に作り出しています。これがほんとたまりません。
序盤は映像美に目を奪われがちになりますが、中盤からは、ギャッツビーの抱く純粋すぎる穢れのない希望に、心奪われ目が離せなくなっていくでしょう。もし、物語に自分を重ねてみることができれば、最高の美と悲壮に浸れる作品です。原作の美しさと哀しさを見事に映像化した作品ですので、ご覧になってみて下さい。
uroko
作品情報
制作年:2013年
制作国:アメリカ
監 督:バズ・ラーマン
出 演:レオナルド・ディカプリオ、キャリー・マリガン、トビー・マグワイア、ジョエル・エドガートン、エリザベス・デビッキ、他
ジャンル:ロマンス
コメント