シャッターアイランド(2009年)
隔絶された孤島で起こるサスペンスミステリー。静かな夜にじっくりと映像、音楽、物語に浸って観てみたい。
物 語:★★★★★
映像美:★★★★☆
音 楽:★★★☆☆
字幕/吹替:字幕がオススメ です。
時 間:138分
ジャンル:サスペンス、ミステリー
どんな映画か(ネタバレなし)
「私の仕事は治療だ 裁きではない」
「シャッターアイランド」より
Synopsis(あらすじ)
1954年 連邦保安官のテディは部下とともにボストン湾の沖合に浮かぶシャッターアイランドに向かっていた。この島には精神を病んだ犯罪者を収容するための精神病院があった。患者は皆、正気を失った犯罪者。ある日、病棟からレイチェルという女性患者が忽然と姿を消す。脱走したレイチェルを見つけ出すため、テディは島で捜査を開始するのだが、医師も看護師も警備員もあまり多くを語ろうとはしない。捜査が行き詰りを見せる中、なぜ自分がこの島に呼ばれたのか、その本当の理由にテディは気づき始める…。
Highlights(見どころ)
本作は、“ シャッターアイランド ” という文字通り、隔絶された孤島を舞台にしています。そこに建てられた精神病院には正気を失った犯罪者たちが収容され、忽然と姿を消した女性患者。そして捜査のため上陸した連邦保安官。まずこの舞台設定だけで、胸の高まりを覚えてしまいました。(面白くなりそうな感じがプンプンする…)
テディが島に上陸すると、そこには手足を錠で拘束されたまま、自分の中に創り上げた虚構の世界に浸り、不気味な笑みを浮かべる患者たちの姿がありました。孤島にある精神病院と患者たちの描写はいかにも不気味なものです。ただ、不気味さの中に、見る側に“ 違和感 ” を残すような演出が特徴的な作品にです。なんでこんな演出にする必要があったのか――?この違和感は、伏線として真相が明らかになるクライマックスで回収されていきます。
細かいものも多いですが、主な違和感ポイントは以下のようなものがあります。ぜひ違和感をチェックしながらご覧になってみて下さい。
①テディは海が怖い
②銃を取り外すのに手間取る部下のオール保安官
③捜索にやる気のない警備員
④映らないコップ、空のコップ
また本作は、1950年代を舞台を舞台にしているのですが、50年代アメリカの味わいのある古さを美しく色鮮やかに映像化している作品でもあります。サスペンスでありながら、映像の美しさを楽しむことができ、一方で、美しく色鮮やかだからこそ、ぞっとする怖さを感じさせる作品でもあります。
そしてラストシーンの台詞は意味深で余韻を残すものになっており、静かな夜にじっくり見てほしい作品です、ぜひご覧になってみて下さい。
注意:以下、ネタバレあります。
ラストシーンの台詞は非常に余韻の残るものでした。
「どっちがマシかな、モンスターとして生きるか、善人として死ぬか」
「モンスター」というのは、戦争で多くの人を殺し、最愛の妻を殺した自分のことであり、正気を取り戻した自分のことだとわたしは思います。つまり、真実を受け止め、島から出ていくことを意味します。一方で「善人」とは、真実を受け入れず、自ら創り上げた、正当化された虚構の世界を抜け出さないこと。結果、ロボトミー手術を受け、自らを失うことを意味します。
そしてテディはそのどちらも選択しなかったのだと思います。正気を取り戻し、真実を受け止めながらも、自ら死を選択したのだとわたしは解釈しました。みなさんはどう思われましたか?
Uroko
作品情報
制作年:2009年
制作国:アメリカ
監 督:マーティン・スコセッシ
出 演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー他
ジャンル:サスペンス、ミステリー
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